盛岡のCafeJazz 開運橋のジョニー 照井顕(てるい けん)

Cafe Jazz 開運橋のジョニー
〒020-0026
盛岡市開運橋通5-9-4F
(開運橋際・MKビル)
TEL/FAX:019-656-8220
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幸遊記NO.72 「荒井勝巳の純手工ギター」2012.5.21.盛岡タイムス

 僕は、若い時からギャグ(ダジャレ)好き。今流行の「オヤジギャグ」ではない、チャチャを入れるところから始まった、筋金入り?の「逆親爺」。ある時、是非、僕に会わせたいシャレの達人が居る、と言ったのはギタリストの故・七戸國夫さんだった。
 その人と、初めて会ったのは、七戸さんの通夜の時だった。しゃべり出してみれば、さすがの凄シャレ。仏前で、いつ果てるともなく、泣き笑いしながら、友人達との駄ジャレの応酬、そして僕に「師匠!」と手を付いたのは荒井勝巳・名工と呼ばれる純手工ギターの製作者だった。七戸さんが、「最高の音」と言ってくれるまで、徹底して制作研究に打ち込み、創り上げた10年目の作品を気に入って持ち帰り、演奏したのが最後となったらしい。
 彼、荒井勝巳さんは1941年、埼玉県潮来の生まれ。溶接工だった10代の頃、友人が弾くギターに魅せられ、ギターを横尾幸弘氏に師事した。20才の時、同じ教室に通う生徒の持って来た手作りギターに感動し、先生の紹介でギター製作者・黒澤常三郎氏、そして田崎守男氏にギター製作を学び、27才で独立。埼玉県に工房を構えた。最初に、師の手工ギター工房で触れた自然な音が、彼のその後の人生を決定付けた。ドイツの名ギタリスト故・ベーレント氏が来日した際に彼のギターに出会い絶賛。自ら発注、生涯愛用し、旅先から、近況報告の手紙が来たと言う。それは「世界一流の製作家」への道標となった。
 彼が言うには、名器と呼ばれる楽器とは「円やかで,芯があって、細くなく、ボリュームに遠達性があり、オリーブ油の様な音がする」ものらしい。彼が製作上、特にこだわっているのはバランス、そして高音よりも「へたばらない低音」を重視する創り方。
 僕は、今だギタリストには成れず、ただ、タダ、打ち鳴らすだけの乱暴な奏法。それでも、ガンガン鳴り、気持いいのだ。ギタリストが弾くと、うっとりする音で鳴る。そのギターは、出会った直後に、彼が、僕の為に作りプレゼントしてくれた宝物。
 そのギターを貰いに行った1994年の三日三晩,起きて寝るまで将棋さし!彼は物凄く強い!全敗で、「師匠!」と、僕が手を付いた。「お酒です。ご飯です。お風呂どうぞ。」彼の故・禮子夫人の献身的なおもてなし。そして、その後、時折の代筆手紙は、妻の鏡でした。




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